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ガーボン逮捕される。ep.4

大濠公園にて

警察署で待っていて。
もう時間は既に夜中頃になっていたんではないかと思います。
突然、制服の若い警察官が入ってきて。
私を確認し、「一緒に来てください」と告げられ、パトカーで出かけました。
行き先は教えてもらえず、行った先で刑事さんが待っていることだけ言われるのみ。
無言のドライブは。。。いろいろなことを想像して怖かったです。

ついた先は兄貴が住んでいたマンションから歩いて数分ほどの場所。
いかにも女性専用マンションぽいお洒落な建物でした。
ロビーに行くと、管理事務所に通されて、また独りで待たされます。
たぶん10分もなかったと思いますが、私自身にはとても長く感じました。

ドアの向こうで男性の怒鳴る声が聞こえます。何言っているかは聞き取れなかったのですが、それを聞いただけでなんとなく状況が把握できました。
しばらくして静かになったなと思った瞬間、ドアが開いて。
ずっと私の話を聞いてくれていた年配の刑事さんが入ってきました。
私は立ち上がり、状況を説明してもらおうと前のめりな姿勢をとると刑事さんは私の肩をそっと両手で抑えて。
「お兄さんの彼女の部屋で男女2名の遺体が発見されました」と。
「これから処理するので、終わったら、お兄さんかどうか確認してもらえますか」と私に諭すように優しく声を掛けてくれて、少しでも落ち着くように気を遣っていただいたように思います。
刑事さん曰く「自殺でしょう」と。
それからまた長い時間待たされました。
1時間、2時間。。。もう永遠に待たされるのかと思うような時間。
でも不思議とこの時は冷静で涙は出ませんでした。
当事者意識もほとんど感じず、自分が逮捕されたことも忘れていたように思います。
部屋の遺体が兄貴じゃないことに一縷の望みをかけて祈っていました。
めちゃくちゃな兄貴だったけど、自殺するような人じゃない。クスリなんてやらないだろう。
疎遠ながらも兄貴を信じる自分がいました。

急に外が騒がしくなったかと思うと、やっとドアが開けられて迎えが来ました。
呼ばれてエレベータに刑事さんと乗りました。
思えばこの時間が短かったけれど一番辛い時間だったかも知れません。

数名の刑事さんに伴われ、部屋の中へ。この時自分でもビックリするくらい足が震えました。
部屋は2部屋あり、入ってすぐの部屋に布団が敷かれて1人の遺体が寝かされていました。
顔に掛けられていた布を刑事さんが取り、確認するようにと無言で促されます。

兄貴でした。間違いなく兄貴でした。
思ったよりも随分きれいな布団に寝かされていたので、「これは?」と尋ねると既に検死されるために病院の方がやってくれたそうです。
更に彼女さんのお父さんが葬儀社に連絡もしていたので、白衣なども用意してくれたみたいで。
私が待たされたのはその時間だったそうです。

「お葬式はどうしますか?」、「親族に連絡をとってください」と矢継ぎ早に催促されるも。
親戚はずいぶん遠い親戚しかいないし、この状況・・・誰にもいえない。
急に私の頭の中はパニック状態になってしまいました。

つづく。

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